土沖詰め合わせ

「土方さん、ちょっと、ちょっと待ってくだせえよ」
「うるせえ、俺の気持ちも考えやがれってんだ」

土方さんに手を引かれて人気のない場所へ連れて行かれる。何度目のことだろう。
たまにあるこの突飛な行動は、でも野郎にとってはそれ以上の回数あった我慢の、限界故らしい。
「おまえ、俺がてめーのこと好きなの知ってんだろ……」
情けない大人だ。格好悪い男のツラだ。吐いて言ってやると眉間に皺が寄る。そして項垂れる。だから、冗談ですよ、とちょっと優しく言ってやる。
負けを認めた土方さんの色気は正直恐ろしい。開き直りというやつだ。這いずるてのひらが熱い。首筋にかかる息もまた熱い。
切れ長の目が憎い。アンタ、さっきすれ違った女の子たちが騒いでいたことなんて気付いてないんでしょう。俺はどうしても今日も土方さんに構ってもらいたくてあの手この手を考える。